2015年3月19日
第1回 「ASEAN全域にのびていくGroup Lease社(当社連結子会社)のファイナンス事業」はこちら
第3回 「APFは単なる金儲けファンドではなく事業を重視していた」はこちら
成長の決め手はローカライズと「軽速短小」のファイナンス
将来、GL 社はどうような方向に向かっていくのでしょうか?
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此下 5年後、まったく新しいファイナンスの形態を目指しています。今、ASEAN6億人がインターネットやスマートフォンでつながっています。固定電話やパソコンは持っていないけれど、ネットにアクセスできていろいろな情報を手に入れられる。特に20代の若い世代。現在、我々の顧客数は20万人ですが、5年後のプランでいきますと、数千万人の方がお客様になっていると思います。インターネットや携帯電話につながる方々なら誰にでもどこでもファイナンスできる。そういう意味で我々は世界的なIT企業になります。
お客様に応じて、様々なタイプ、期間のファイナンスを提示ができるようにしたいです。今の私たちは年単位のファイナンスしかありませんが、例えば、10日間だけ必要な場合もあるでしょう。もしかしたらお母さんの誕生日だけにいるかもしれない。オートバイは1000ドルですが、必要額はもしかしてたった50ドルかもしれません。これらのファイナンスは中間のロスを無くすことで、もっと金利も落とせるし、不良債権率も落とせます。
ASEANの草の根経済の方々は、ちょっとしたお金の必要があると知り合いや村の金融業者にお金を借りています。でも、実際はそれがトラブルの元になっていることも多いんです。そもそも知り合いにお金貸してくれって言いにくいものですし、人間関係もお金のトラブルで壊れてしまう。だから私たちが隣の「おじさん」や「ともだち」になります。そうすれば、温かい関係が壊れない、まして闇金融とかもなくなります。ASEANに貢献できます。ちょっと、心も温まるじゃないですか。温かいサービス企業ができます。
そのためには、銀行を介さないで返済可能になる仕組みがキーです。なぜならASEANの大半の人たちは銀行口座を持っていないんです。その中で、どうやって20、30ドルを送っていただくかというのが考えどころでした。今は、いわゆるモバイルペイメントという仕組みで、送金していただいています。カンボジアではそのためにWingという大手企業と提携を拡大しています。銀行のように何億円もかけて1つの支店を開くスタイルではなくて、より軽い、ライトな、彼らができないスタイルのファイナンスサービスを、ASEANの草の根経済のお客様に提供していくスタイルを確立したいのです。重厚長大ではなく、「軽速短小」のファイナンス企業を作ります。
GL社の審査部。 タイ国内なら30分程で審査が完了する。
此下 一つはやはりASEANの経済発展ですね。昔はASEANというと安価な生産拠点。しかし今ではその安い労働力だった皆さんが、お客様になっているわけです。ASEAN単体で消費経済が成り立っているわけです。そして、その経済圏で、いかにロスを無くした形態のファイナンスのサービスを提供できるか? が勝負だと思います。この話をすると10時間インタビューでも話すことができますよ。
GL社はタイに生まれ育ってきました。それに、私自身が自分のビジネスを東南アジアの空気と水と土の中で育みました。一緒に仕事しているのは各国の現地スタッフが大半、日本人10人、フランス人7名等、インターナショナルなのは当然ですが、全員、自分をどっぷり現地に漬け込んでいるやつらばかりです。グローバル展開しているファイナンス会社でここまでローカライズできているのはGL社以外にありません。
よく日本や先進国のファイナンス会社の進出は脅威でないかと聞かれます。確かにグローバル展開は大切です。我々もまさにやっている。でも最後に勝負を決めるのはローカライズです。現場での肌感覚からくる「決断」の連続なんです。負ける要素はないですよ。
オートバイ、農機具以外でのファイナンスは何かお考えでしょうか?
此下 どんどん進めていきます。正式にラウンチすれば皆さんにお知らせして、早くお客様により便利で、生産性の高い生活を楽しんでもらいたいです。マイクロファイナンスより小さなナノファイナンスも大いなる魅力ですし、続々商品が増えます。「こんな商品買えませんか?」といういろいろな要求に対応でき、額や金利もお客様に合わせて、どこよりも早く決断できるファイナンスサービスの会社にします。今も変革していっていますし、これからも変革し続けていきます。
私の日常は、ユニフォームに着替えてディーラーさん回って、お客様と話すというのが半分くらいです。現場大好きなんです。ASEAN中、自分でオートバイや自動車を運転して回っています。面白いですよ、現地は。現地にどっぷり浸かった環境の中から、お客様側から出てくるいろいろな生の声を自分の耳で聞ける。それによってお客様が増えていく実感があります。
20万人の人たちが向こうからビジネスチャンスを持ってきてくれるというわけですね。
此下 はい。特にクレームは宝の山です。クレームを次のビジネスチャンスに転換できるかが大きいんです。コールセンターから毎日、レポートが上がってきますが、それをよくよく聞く。それを吸い上げていけるような体制の企業作りを常に心がけてやってきました。我々は専門性とスピードで勝負します。
今は薄くなりましたが、昔の日本の商売には顧客の身になって考えるようなお客様との対話が残っていましたね。
此下 ASEANではマニュアル頼みでは生き残っていけません。伸びてますから、明日には変わっています。お客様もよく見ています。お客様のご要望をとにかく速く吸収して、受け入れ、分析し、アウトプットまで持って行く体制。これが大切だと思っています。預金を預かる銀行ではそれができない。決定権者が日米欧にいるようでは絶望的です。
ビジネスのモットーは何でしょう?
此下 会社としては「First,Fast & Forward」という事です。一番に、そして早く、そして前に。これが今の我々のモットーです。個人的には、私、いろいろな意味でファミリー主義なんです。いっしょに仕事している仲間、戦っている仲間。役員、社員、ディーラーさん。いろいろな仲間がいます。人間は、常に幸せと思って暮らしていくのは無理です。私だってそうです。問題が起こるのが日常だし、それが仕事というものです。でも可能性を感じてもらえるプラン、「こいつ面白い事やってるな」という魅力を感じてもらえるプランを常に提供していきたい。今日より明日が良くなるし、明日より1年後が良くなる。1年後より5年後、そして10年後が。いっしょに過ごして楽しいと思ってもらえるか。というのがトップたる自分の中での一番のモットーです。
ASEANって昔風の日本が結構残っているというか、いい意味での村や家族が残ってるんです。私も影響受けたみたいで、物質文化に依存していたらこうして仕事させてもらっていないと思います。とは言え、現実的にお金を稼がないと生活していけない。現実から離れた家族という意味ではなくて、現実の中で今日より明日を良くするための家族的な経営だと思ってます。
私はこれから伸びていく国の中で仕事をしています。ここでは未来を語れない人間はトップに立ってはいけないと思ってます。「こんな未来があるからいっしょに仕事しましょう」と、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマー。いろいろな所で言っています。そういう信念を持って、その魅力を感じてもらって、皆さんといっしょにこの瞬間を充実して過ごす。そう思ってがんばっています。
第1回 「ASEAN全域にのびていくGroup Lease社(当社連結子会社)のファイナンス事業」はこちら
第3回 「APFは単なる金儲けファンドではなく事業を重視していた」はこちら
※ Special Interview(全3回)第3回は3月23日更新予定です。